目 次
第1章 このボランティア訓練マニュアルについて 1 はじめに
2 私たちの技能の基礎
3 私たちの行動目標
4 ボランティア訓練予定表
第2章 ホスピスとは 1 ホスピスの歴史
2 ホスピスの理念
3 スポーケン・ホスピスについて
4 スポーケン・ホスピス組織図 (図1 1993年5月1日現在)
略
5 スポーケン・ホスピスのプログラム要綱
第3章 良いコミュニケーションに求められること 1 コミュニケーション
2 “わかってほしい”
3 質問を効果的にする指針
4 患者の権利および秘密の保持
5 感情表現を豊かにする言葉
ようこそ!このトレーニング・マニュアルと、あなたが参加しようとしているトレーニングは、ホスピスの活動とその理念の紹介です。このトレーニングには、4つの目標があります。
第一の目標は、自己認識の拡大です。この目標は、あなた自身が自分自身の価値観、信念、期待、恐れ、考えの片寄り方を、より深く理解すればするほど、あなたのもたらす効果は大きくなるという信念に基づいています。自己認識へ導く訓練は、このトレーニング・プログラムを通してなされます。
第二の目標は、あなたのコミュニケーション能力を向上させることです。あなた自身の感情をうまく表すことができ、かつ他人の根底にあるメッセージを効果的に「聞く」ことができると、あなたはより良い伝達者、より良い聞き手となることができます。
第三の目標は、 死に直面している家族が向き合う問題をあなたに熟知させることです。トレーニングに含まれる内容は、終末期に起こる身体的、心理的、感情的変化、および死をめぐる現実的な問題や家族の変化を学ぶことが含まれます。
第四の目標は、悲しみの過程の知識をあなたに提供することです。これには予期、急性期の悲しみ、未解決の悲しみ、そしてどのように死別ケアを行って、人々を支えていくかが含まれます。
チーム・アプローチでトレーニングは行われます。チームのメンバーは、私たちの特別の依頼者に対して、あなた方とご一緒するホスピスのスタッフとボランティアです。
生命を脅かすような、もしくは終末期患者との関係について実際に話す前に、私たちは自分たち自身がそれをどのように考えているかを知る必要があります。
確実なことが一つあります。それは、私たちは皆、医療の専門家も含めて、死の過程と死そのものへの共通の思いを持っています。その思いとは、恐れです。
私たちの多くは、また、年をとることを恐れています。
私たちが学ばなければならないのは、私たちの恐れがケアや死にゆく人との関係にどのように影響するかということです。
例えば、病院の看護婦たちは、自分たちと死にゆく人々との間に、順調な患者との間よりも文字どおり大きな距離をおくということは、よく知られている事実です。看護婦たちの振る舞いが例外であるはずはありません。
私たちは、自分たち自身が「距離」をおきたがる傾向を認識し、なぜそうなるのか、その源を調べることができます。そして、私たちが死にゆく患者を適切にケアするようになれば、私たちは自分たちの彼らに対する振る舞いを変えることもできます。
私たちは、自分たち自身から自分たち自身のために、より効果的に学べます。そこで、自己認識は私たちの技能の基礎となるのです。
1 同じチームのメンバーになる可能性のあるものとして、お互いに親しくなります。
2 個人的な経験や「タブー」とされる話題について気楽に話せるようになります。
3 死と喪失について自分たち自身の考えを探ります。
4 ホスピスの背景、基本的な概念、手順をよく学びます。
5 コミュニケーションの基礎を学び直します。
6 自分たち自身の反応、判断、そして状況と人々を理解するため、意識を高めます。
7 危機にある人々に役立つコミュニケーションの方法を理解します。
8 心理社会的、生理学的な過程をよく学びます。
9 助けとなるやり方をよく学びます。
10 年をとること、とくに自分自身が年をとることに対する気持ちをよりよく知ります。
11 危機に対する心理的反応、そして死と悲しみの過程を学びます。
12 自分に対するストレスの衝撃と助けることのできる能力を理解します。
13 自殺の気配と、それに遭遇したとき、起こりうる反応を学びます。
14 死の差し迫った気配と兆候に気づくことができるようになります。
15 死に伴う家族の求めに応じられるようになります。
16 がんの治療法と、それらの副作用について学びます。
17 悲しんでいる人が求めるものを知り、助けとなるやり方をよく学びます。
18 患者とその家族が利用可能な地域サービスについて学びます。
19 ホスピスのボランティアの役割は、チームのメンバーとしての役割であることを理解します。
午後6時 歓迎、紹介
ボランティア・サービス部長
マニュアル配布
ボランティア・コーディネーター
あいさつ 社会福祉局長
秘密保持について
ホスピスの歴史と理念
ホスピスの目的
患者の権利章典
休憩 ツベルクリンテスト
午後7時半 トレーニングの概観
ボランティア・サービス部長
午後8時半 死ぬことについて
ボランティア・コーディネーター
ボランティア体験談
午後9時 終了(次回へ続く)
午後6時 第1部のまとめと復習
ボランティア・サービス部長
午後6時半 チーム・ナーシング 看護婦
看護サービス
感染コントロール
死の徴候
ソーシャル・ワーク
メディカル・ソーシャル・ワーカー
社会奉仕
心理社会的側面
セルフ・ケア
境を見定めること
休憩 ツベルクリンテスト判定
午後9時 終了(次回へ続く)
午後6時 エイズ/HIVの知識 看護婦
基礎知識
事実と数字
介護の手順−感染予防
基準を知る
午後7時 地域発表
午後8時 休憩
社会心理的側面
体験の分かち合い
午後9時 終了(次回へ続く)
午後6時 終末をどうする 入退院係
午後6時半 体験の分かち合い
午後7時15分 休憩
午後7時半 ボランティア活動
ボランティア・サービス部長
仕事内容紹介
チーム・ワーク
聞く能力
コミュニケーション能力
文書化
ボランティア体験
午後9時 終了(次回へ続く)
午後6時 ボール・ドッジ南葬儀場集合
ツベルクリンテスト再検
午後6時15分 精神的ケア 牧師
午後7時 葬儀サービス
ボランティア(ボール・ドッジ)
午後9時 終了(次回へ続く)
午後6時 死別ケア・サービス カウンセラー
悲しみと喪失
死別ケア
午後7時半 休憩
午後7時45分 ボランティア体験談
午後8時15分 終了と評価
ボランティア・サービス部長
午後8時45分 終了証
軽食
午後9時 終了
中世ヨーロッパでは、ホスピスは、旅人が疲れを癒したり、死にゆく人が安らぎをえる宿でした。
1960年代に、近代ホスピス概念は、末期患者とその家族のケアと支援を目的に、イギリスで始まりました。この運動は、シシリー・ソンダースによって定義づけられ組織化されたのです。後年、彼女はロンドンに聖クリストファー・ホスピスを開設しました。
1 ホスピスケアの第一の目的は、患者にできる限りの快適な生活を保証し、その間ケアする人の支えにもなることです。
しばしば、末期患者のケアは患者はどうせ死ぬのだという視点に立っていた感があります。ホスピスケアは個人そのものに目を向け、病気を越えて見るものです。そうすれば、たとえその患者がいくら個性的な人間でも、尊ばれて、残された時間の長さにかかわらず、快適な生活が送れるようになれるでしょう。2 患者とその家族は、ともにケアの対象となります。
致死的な病気は、それにかかっている人のみならず、その人と親しい人々にも影響を与えます。死に至るまでの悲しみは、否定から受容、あるいは無視などという多様な感情を人々に呼び起こします。家族や友人は、大切なものを失うことに直面しなければなりません。死んでいく人にとっては、すべてを失うことに直面しなければなりません。3 快適な生活をおくるために、痛みと症状コントロールを重視します。
痛みで苦しんでいると、痛みのみならず、痛みからの不安に加えて、すべてに悪影響を与えます。患者が少しでも動けるようになるためには、鎮痛が必要です。患者、家族、ホスピス・チーム、医師らが集まり、率直に意見を交わすことが重要です。4 ケア・プランに関する医療方針が設定されています。
患者がどのような医療を受けていても、ケア・プランは主治医の指導のもとに進められます。ホスピス・スタッフは、綿密な観察よりえた症状を医師に伝え、それにより医師は方針を考えます。ホスピス・チームはそれに基づき患者が何を必要としているかをよりよく理解します。5 ホスピスサービスは地域社会の医師、看護婦、ソーシャル・ワーカー、聖職者、ボランティア、その他の専門家から成るホスピス・チームにより運営されています。
これらの人々は、顧問または理事会の運営メンバーの役割も負っています。6 支援、医療サービスは年中無休で利用可能です。
ホスピスケアは他のケア・サービスとは全く異なっています。会社のような5時―9時体制でもありません。末期患者とその家族にとり、緊急事態は24時間いつ起こるかもしれないからです。ホスピスが他と違うところは、患者と家族が必要な時にホスピスは対応してくれる信頼感があることです。7 家族へのケアは、患者の死後も継続して行われます。
ホスピス理念は、患者と家族の死別前の悲しみのみならず、愛する者を失い残された家族の悲しみにも考慮しています。残された家族にとってホスピス関係者は、家族の特別のできごと、すなわち愛する者の死をともに分かち合った関係であり、残された家族の悲しみをわかってもらえるという特別な思いがあるのです。ホスピスの支援は、患者の死で終わるのではなく、死後の残された家族への支援にも及びます。
スポーケン市におけるホスピスサービスは、1977年秋に、アメリカ国内で12番目のものとして始まりました。スポーケン・ホスピス創設者は、長い人生の間に、時とともに変わる希望に対応することを目指しています。その使命
スポーケン・ホスピスは非営利で、地域に根差した組織です。ホスピスは、死にゆく人と、その愛する人々を直接的に支援し、介護し、また悲しむ人々を支援します。患者の尊厳と個人の選択は尊重されます。ケアは、医師、看護婦、ソーシャル・ワーカー、看護助手、ボランティア、そして精神的な相談相手を含むホスピス・チームによってなされます。自由に選択できます
ホスピスは、生を肯定し、死を急がせることも、遅らせることもしません。ホスピスは、患者と家族のニーズに地域社会で対応して、適切なケアを行います。それによって、患者やそれを愛する人々が、自由に満足のいく死への心の準備ができるという希望と信念をもっています。ホスピスケア
ホスピスケアは、主治医に率いられたチームによってなされます。チームには、医学、看護、社会福祉、そして宗教関係の人々が入っています。中でも、特別に訓練されたボランティアが重要な役割を果たします。患者と家族の選択と希望は、ケアの方針を立てるのに反映されます。患者の家族は主要な介護者であるとともに、介護と支援が必要な対象とみなされます。そうすることによって、彼ら自身のストレスや心配事にも必要な配慮がなされることになります。費用
ホスピス・メディケアによるケアは無料です。また、ホスピス・サービスは保険でも賄われます。お金のない人は、地域社会で支えます。それが本当の「地域社会を介護する地域社会」です。私たちの活動は、寄付や基金集めの事業に頼っています。あなたのどんなに小さな援助も、未来の患者やその家族のためのホスピス活動を存続させてくれることに役立ちます。すべての寄付は税金控除の対象となります。
1 在宅ケア
1) 看護婦による在宅ケア:カテーテル管理、着替え、皮膚のケア、他
2) 医療局長による診察
3) 患者や近親者へ下記の教育と指導
a 症候学
b 栄養学
c 身体のケア
d 治療の副作用
4) 適宜、ホスピス入院
5) 年中無休のサービス
6) 継続するケア2 死別ケア
スポーケン・ホスピスの死別ケア・プログラムは、在宅ケアのサービスを受けたことのあるなしにかかわらず、対象地域内であれば、死別の悲しみにある人に支援と情報を提供します。サービスは次のとおりです。1) ボランティアによるサービス
2) 毎週の支援と情報のためのミーティング
3) 家族支援サービス:
a 死を前にした悲しみへの対応
b 個人やグループ・カウンセリング、悲嘆期まで
c 死別ケアに関するサービス
d 対人および家族内関係改善への協力
e 子どもや青年への死別に関する支え
f 他のサービス提供者とのネットワーク
g 取次サービス
h 牧会サービス
i 死亡通知郵送3 地域社会教育
1) ホスピス・ボランティアへの18時間訓練
2) 勤務体験
3) 市広報4 スタッフ構成
1) 所長
2) 医療局長
3) 看護局長
4) 社会福祉局長
5) 渉外局長
6) 総務
7) 死別ケア・コーディネーター
8) 事務局
9) ボランティア・コーディネーター
10) ホスピス看護婦
11) ホスピス・ソーシャル・ワーカー
12) 秘書
13) 図書館係り
14) 受付5 スポーケン・ホスピスは、ボランティアの理事会により運営されます。
6 基金
スポーケン・ホスピスは、私的、非営利、非宗教団体です。在宅ケアと死別ケアに関するサービスは、スライド式料金制度により提供されます。それは、スポーケン・ホスピス基準にあてはまれば、支払い能力にかかわらず、誰でも利用できます。ホスピス運営資金の出所は:
スライド式料金制度、国民医療保障と第三者支払い基金、
上記の組み合わせ、寄付金、会費、補助金と基金7 在宅ケアサービスの基準
1) 例外を除いて、医者により6カ月以内の余命と診断された患者
2) スポーケン郡の患者、またはスティーブン郡の一部に住む患者
3) ホスピス側を快く受け入れる患者
4) 患者の主治医がホスピス側を快く受け入れてくれること8 死別ケアに関するサービス基準
1) スポーケン郡の住民
2) 愛する人を亡くした依頼者
3) ホスピスの主旨に賛同する依頼者9 紹介先
医者、看護婦、ソーシャル・ワーカー、カウンセリング機構、
家族、友人、患者自身10 ホスピス看護婦の役割
1) ほとんどは、身体的評価と教育および身の周りの世話
2) 健康に関しての知識、すなわち患者や家族が気にかけている医薬、
治療、栄養、死の兆候、そして死に直面した時の対応についての
疑問に答えること
3) 家族が病気、ケアやさまざまなサービスの利用法について選択できる
ために必要な情報の提供
4) 痛みや症状コントロールについて医師と相談し、
患者の必要とするものをそのつど医者に報告すること
5) 他の適切な利用可能なサービスについての情報を家族に提供すること
6) 傾聴
7) 患者の死に臨むこと11 ホスピス・ソーシャル・ワーカーの役割
1) カウンセリング(個人および家族)
2) 心理社会上の評価
3) 財政面や休職の必要性を理解し、地域のさまざまなサービスに
結びつけること
4) 他の利用可能なサービスの紹介
12 ホスピス・ボランティアの役割
1) 特殊な訓練、指導を受けたボランティアによる支援サービス
2) 家庭訪問
3) 電話連絡
4) 家族の代わりをするケア(レスパイト・ケア)
5) 緊急搬送
6) 同伴サービス
13 ホスピス・ボランティアが関わりをもつ範疇
1) 在宅ケア
2) 死別ケア
3) 地域教育
4) 患者関係以外(事務、募金、他)
5) 専門的才能をもつボランティア
6) 組合
14 ホスピス・ボランティアの責任
1) 少なくとも、1年を通した週2〜5時間の貢献の義務
2) 依頼者が悲しんでいる時、看護婦、ソーシャル・ワーカー、
死別ケア・コーディネーターとの定期的連絡
4) 在宅ケアや死別ケア・サービスをするごとに記録し、
月末に事務所に提出
5) ホスピス行事への出席
6) 秘密保持
目次へモ
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1 傾聴の技能傾聴すれば、さまざまな障害をきり抜いて行けます。話し手の内部に迫り、何を伝えようとしているのか、
相手の見方から理解するよう努めます。そうするためには、しなければならないことがいくつかあります。2 話し全体の意味を聞きとる
コミュニケーションする時は、いつでも伝えたいことが2つあります。一つは話の内容であり、もう一つは
感情部分です。この2つとも重要であり、どちらも理解しようとしなければなりません。3 感情部分を聞きとる
時として、伝えたいことを理解するには、内容よりも感情がはるかに重要です。そのため、とくに感情部分
に応えるようにします。例えば、患者が「もう誰も信用できない。みんなは私をだましている。」と、
話の口火を切ったとします。その時は、私たちが具体的にその問題に対処し始める前に、この発言に
含まれる挫折や意気消沈、失意の状態をうまく処理することが必須です。4 相互理解のテスト
他人の立場に立って理解するのは、非常に難しいものです。そのため、私たちは、
相手と同じ視点で世の中を見ているかどうかを常に確認する必要があります。私たちの接し方が正しければ、
相手はそれに応えてくれるでしょう。相手があなたが理解してくれたと得心するまでは、
相手の問題を理解していると考えるべきではありません。5 傾聴の難しさ
傾聴法は、簡単に学べる技能ではありません。私たちは、通常、私たちの観点から考えて相手の話を聞きます。
これは傾聴法とは異なったものです。傾聴法を会得するには、相手の観点に立って考えるようにやり方を変えて、
さらに多くの実践が必要です。このことは面倒くさいし、最初は芝居がかって非常におおげさに思えます。
でも、ぜひ家庭内で試してみてほしいと思います。家族や友人との関係がより親密になること間違いありません。6 個人的かかわり
傾聴法は、個人的な思い入れが多くなるため、かなりの危険を伴います。
傾聴するには、話し手に深く関心を持たなければなりません。私たちは皆、
お互いに影響し合うという状況のため、ガラスでできた家に住んでいるようなものです。
ガラスは透けて見えます。私たちが単に関心があるような振りをするものなら、
それを意識するしないにかかわらず、話に出てしまうものです。
一度そうなると、相手はもう思うことを率直に話そうとはしないでしょう。
傾聴法においては、傾聴する側が危険に陥りやすくなります。もしここに述べられていること、
「話し手の感情を深く感じ入って、話し手の体験から得た意味を理解し、この世を話し手が見るように見ること」
を実行しようとすれば、私たちは自分というものを見失う危険があります。たとえ瞬間的であれ、
私たちが自分の考えを捨てて、相手の見方に合わせることは危険なのです。相手を理解しようとするあまり、
自分自身を危険にさらすには、非常な精神的力量と勇気が必要なのです。7 その他の問題
聞き手として、一般社会ではとても聞くに耐えない種類の言葉を耳にすることが時としてあるでしょう。
また、拒否的で憎しみに満ちた表現があなたに向けられるかもしれません。あなたは、
それを恐いと思ったりします。しかし、防御的になったり、し返してやろうなどと思わず、
それらの反応を許す強い心を持つことが、あなたには求められています。しばらくは、
あなたの感情を胸にしまっておいて、相手の立場に立ってみるようにします。
時として、聞き手の感情が傾聴の障害になることがあります。私たちの感情が高ぶっているような状況では、
自らの関心事を表面に出さずに、相手を理解するのは非常に難しいものです。自分の感情というものは、
しばしば聞き手にとって一番の敵となります。特殊な状況下や問題を抱えている時は、
そうなればなるほど相手の感情や態度を理解できなくなってしまいます。
聞き手としての立場をあやうくする、さまざまな感情とサインを見てみましょう。
注意する必要のある危険なサインとは、自己防衛的になること、
相手に対する敵意、
そして性格の衝突、です。もし、私たちが必要以上に激しく自分の立場を守ろうとし、相手の言葉に不快感を示したり、
相手と話すのを嫌がる素振りを示すと、相手はその拒絶的感情を敏感に感じ取り、もう隠し通すことは
できません。相手に当たり散らすことのない、拒絶感情の対処法について述べてみましょう。感情が高ぶっている時には、自分自身の声に耳を傾けることが大切です。
相手の話を聞くに先立って、私たち自身の声に耳を傾けることが必須条件なのです。
このことは、今まで述べてきた傾聴法に伴うさまざまな問題に取り組む有効な手段となります。
非常に高揚していたり、興奮していたり、自尊心が勝っているような時は、自分自身はもちろん
相手の問題も理解することはできません。自らの状況、価値、求めるものを確認することが最も大切です。
あなたにとっての特別のできごとの意味を認識し理解する能力と、あなた自身に刺激を与えるもの、
あなたが傾聴法を会得するに至った経路を思い起こすことが大切です。そうすれば、気分を一新し、
初めのように偏見なく相手の話に耳を傾けることができるようになります。
つまり、ある人または状況があなたの聞こうとする努力を妨げていると思ったら、まずあなた自身に聞こうと
努めることです。自分自身の思いを無理に抑え込もうとしないことが、より良い関係を築くために有効です。
2 “わかってほしい” 話を聞いてと あなたにたのむと
忠告のことばを並べ始める
わたしは そんなこと 望んでいないのに話を聞いてと あなたにたのむと
どうしてみなと同じようにできないのかと 話し始める
わたしは なんだか ガッカリ しました話を聞いて欲しい!!
おねがいしたいのはただ一つ わたしの言うことを聞いてください
話をしたり なにかをするのでなく
話を聞いて欲しいのですあなたが わたしにしてくれることは
わたしができること しなければいけないことばかり
あなたがすることは わたしを 怯えさせ無力にするたとえどんなに 分別がないと思われようと
わたしには わたしの感じかたがある
あなたが この一つの単純な事実に 気がつけば
わたしは あなたに解ってもらえるだろう
そして この分別のない感情の裏に
なにが隠されているのかを わかるだろうあなたが このことを理解すれば
答は明らかです
わたしには もうたくさんの言葉は必要ない
分別のない感情は その裏に隠された意味を理解させる
あなたは わたしにできることが わかるだから わたしの話しを聞いてほしい そして わかってほしい
そして もし あなたが話しをしたくなったら
ちょっと待ってほしい
つぎに わたしが 聞き手になりましょう
(作者不明)
1 こと細かく問い返すべきでない相手を救いたいと思うあまりに、多くの質問をしがちです。とくに抑うつ状態にある人は、
受け応えが困難な状態にあります。そして、体力が低下しているので、
質問ばかりすると疲労させるだけなのです。2 質問は、相手の探究心に応えるもの
相手の立場を忘れて、私たちの好奇心から質問することは適当ではありません。相手は常に心の癒し、
成長を求めています。ですから、その探求心を尊び助けとなるものでなければなりません。3 効果的な質問は、相手の思考を発展させる
心に傷を負っている人たちは、その感情の最も困難なときに判断を下しがちです。彼らは、
選択の幅を狭めたいと望んでしまいます。選択の幅を広げることによって、
その人の思考を発展させ賢くすることができます。
どんな質問が、そしてどのように質問すれば相手の思考の助けとなるかというと、
「ほかにとるべき方法は何ですか?」、「どのようにすれば、父親の心を開いて話し合えますか?」、
「今のやり方を変えてみるのはどうでしょう?」などです。
相手の心からの正直な返答を得るような質問は、情報を探り出そうという質問とは異なるものです。4 命令的なものより、リラックスさせるような質問が最も良い
解放感を誘導する質問は、「どうしていけないのですか?」、
「本来の自分を取り戻すためには、なにが必要ですか?」などです。
恐れは、時として人の思考力を妨げることがあります。私たちは、
この恐れに打ち勝つような質問をする必要があります。(友人との関係、ポール・ウェルター)
1 ホスピスおよび在宅患者の基本的人権ホスピスおよび在宅ケア患者、家族、患者の法定代理人は、次の権利を有します
1) 在宅において個人の健康と快適な生活を維持し、
向上するために十分な安全で有効なケアを受ける権利
2) 在宅へのサービスを含め、利用可能なサービスについて情報と案内を受ける権利を持ち、
すべてのサービスは、人種、宗教、性別、年齢、国籍、障害の程度にかかわらず能率的
かつ便利な方法で配送される権利
3) いかなる場合でも、虐待や差別を受けることなく、礼儀正しく、敬意をもって、
プライバシーを犯されることなく治療される権利
4) 治療やケア・プランに関わる各スタッフの名前を知る権利、そのスタッフとの連絡方法を知る権利
5) あらゆるサービスは、選抜され、指導を受け、教育と経験を通して資格を得た職員により
提供されるという保証を受ける権利
6) 治療とケア・プランは、適切な在宅療養専門スタッフ、患者とその家族が最大限協力して、
医師により特定の個人に適した方法で展開されていることを知る権利
7) ケアを実施する人の名前と部門を含め、ホスピスおよび在宅ケア・スタッフにより行われる
処置と治療の性質や目的を知る権利
8) 治療とケア・プランにおける闘病過程で、必要な医療行為も含めて医学的管理の必要性から、
患者と家族が負う責務について知る権利
9) ケアや治療、サービスを拒否すること、そして前もってわかっているならば、
それらを拒否する行為の結果、起こりうることを知る権利
10) サービスの変更を要求する権利
11) サービスが国民医療保障による場合を除いて、可能な限り、保険や他の支払方法を含め、
サービスに対する支払い額と請求方法の説明を受ける権利
12) サービスが国民医療保障による場合を除いて、各サービスが行われた日付と料金、
すべて項目別にされた勘定明細書を要求に応じて受け取る権利
13) プライバシーと医療記録の機密が確保される権利、要求すれば、患者自身の医療記録を閲覧できる権利
14) 認可されたサービス提供先の部門名簿を閲覧する権利
15) 差し迫った退院、サービス提供先とケアの内容の変更、進行中のケア要項、そして必要あれば
他に利用できるサービスとそれを選択できることを妥当な時間内に知らされる権利
16) サービス提供先とホスピス部門へ提起し請願した苦情が、たどる経過を知る権利。
スポーケン・ホスピス(509―456―0438)に電話し、入退院係りを呼び出せばよい。
またはワシントン州衛生局、医療監視部直通電話(800―633―6828)を呼び出し、
苦情に関する記録を要請するとよい
17)要請により、サービス提供先の所有者と管理者を知る権利
18)任意のインフォームド・コンセントの後も、実験や研究に関わるケアについて、
サービス提供先から情報を知る権利
19)内科または外科の治療を受けるか否かの権利、先行して意志を表明するか否かも含めて、
医療方針決定に関する州法の個人の権利に関する情報を文書で受け取り、知る権利
私は、よく知らされたうえで、
患者の権利法と先行意志表明に関する文書化された資料を受け取りました。患者氏名(サイン)
日付
ホスピス代表氏名(サイン)
日付
2 秘密保持の指針と誓約
秘密保持に関する原則は、職業人の倫理と地域の人々の尊重に根差しています。
スポーケン・ホスピスに参画する者は、依頼者とサービス提供者自身、それらの間に倫理に基づき
任務を遂行する義務があります。ホスピスの患者は生活環境や私事の秘密が守られていることを信
じながら行動し、私たちは法律および倫理に基づき、その信頼に応える義務を持ちます。次のことは、秘密保持に関する指針を示したものです。
1) 患者に関する詳細は、臨床目的のためのみに検討できます。つまり、
より適切な治療とケアを施すために話し合われるものです。2) 患者を特定できる情報(名前、住所、社会保障番号)は、ホスピス・サービスに
必要とされる場合以外は公表できません。3) 患者の記録は、臨床の目的のみに利用され、一般の調査には使用できません。
他の者が患者の記録を必要とする時は、あらかじめ直接患者の許可を得ることが必要です。
患者または法定代理人の許可なしに、患者の記録を他人や他所に送ることは許されません。4) ホスピスケアの目的以外の場所では、たとえ名前、住所、社会保障番号を隠していても、
患者記録の詳細を明らかにすることは、秘密を漏らしたとみなされます。つまり、どの患者と特定
できないような記録でも、その内容を詳細に話し合っている間に、聞き手に患者を推定させるに十
分な名前をほのめかしたり、データから特定できるヒントを与えたりするかもしれないからです。5) ある患者が、いかなるメディアを通して公表されたとしても、
この患者が引き続きホスピスの秘密保持の権利を持つという事実は変わりません。各スタッフ、ボランティア、学生はこの誓約に署名し、この記録はホスピスに保存されます。
私は、上記の指針を理解し同意し、
これを破ることがあった場合は、直ちに解雇につながることを了承します。氏名(サイン)
日付
|
愛情のある |
飽きた |
悪意のある |
欺かれた |
圧倒された |
|
快活な |
悔恨の |
解放された |
かき乱した |
確実な |
|
挫折した |
妨げられた |
残酷な |
強いる |
自信のない |
|
退屈した |
怠惰な |
大胆な |
助けになる |
正しい |
|
涙もろい |
苦々しい |
憎い |
二重意識の |
ねたむ |
|
破壊的な |
ばかげた |
ばかな |
迫害する |
激しい |
|
まじめな |
間の抜けた |
麻痺した |
満喫した |
満足した |
|
憂鬱な |
勇敢な |
有能な |
誘惑する |
愉快な |
第1部 ホスピスへようこそ!!
第1章 このボランティア訓練マニュアルについて
T はじめに 1
U 私たちの技能の基礎 2
V 私たちの行動目標 3
W ボランティア訓練予定表 4
第2章 ホスピスとは
T ホスピスの歴史 6
U ホスピスの理念 6
V スポーケン・ホスピスについて 7
W スポーケン・ホスピス組織図 8
X スポーケン・ホスピスのプログラム要綱 9
第3章 良いコミュニケーションに求められること
T コミュニケーション 11
U “わかってほしい” 13
V 質問を効果的にする指針 14
W 患者の権利および秘密の保持 15
X 感情表現を豊かにする言葉 17
私たちは、終末期にある人々に、より良い理解を示し、彼らの残りの日々がより満たされるように手伝う努力をします。
私たちは、悲しんでいるものたちのより良い支えとなります。
ときには 治すことができる
しばしば 癒すことができる
いつもできることは 安らぎを与えること (トルドー)
人が費やすことのできるもののうち 最も価値あるものは時である