尿路症状
膀胱の神経支配
- 人は、副交感神経系で排尿し、交感神経系で排尿を止めている。
- 排尿筋が収縮すると同時に、括約筋が弛緩する。前者が弛緩すると、後者が収縮する。
- 抗コリン作動性薬は、膀胱頚部の括約筋を収縮させるのみならず、排尿筋を弛緩させる
- 排尿筋の感受性は、プロスタグランジン産生抑制薬(非ステロイド性性消炎鎮痛薬)によって低下する。
頻尿と尿意急迫
- 定義
- 頻尿:日中7回以上、夜間2回以上の排尿
- 尿意急迫:強い突発的な尿意
- 急迫性尿失禁:強い尿意に伴って生じる不随的排尿
- 緊張性尿失禁:せき、くしゃみ、笑い、身体的な運動時などに生じる不随意的な排尿
- 尿失禁
- ホスピス患者の約20%に尿失禁が起こる。最後の48時間は、尿路カテーテルを必要とする患者が多い。
- 高齢者の場合、軽い尿路感染症があると、他に症状がなくても尿失禁が起こる。
- 持続性尿失禁の患者の大多数に、持続性留置カテーテルが最良の解決法である。
- 宿便は尿路の症状を起こすことが多い。
- 膀胱腟瘻-----かなり長い予後があるなら、尿路変更術(回腸導管、尿管S状結腸吻合術)を考慮すべきである。
- 頻尿の患者の場合、トイレや室内便器をすぐ近くに置いてあげる。
- 抗コリン作動性薬
- アミトリプチリン(トリプタノール)
- プロパンテリン(プロバンサイン)
- これらの薬は排尿筋機能不安定状態にまず選択
- 交感神経作用薬
- テルブタリン(ブリカニール)5mg1日3回
- フラボキサート(ブラダロン)200mg〜400mg1日4回
- NSAIDS
- フルルビプロフェン(フロベン)50〜100mg1日2回
- ナプロキセン(ナイキサン)250〜500mg1日2回
- 局所鎮痛薬
- フェナゾピリジン(ウロピリジン)100〜200mg1日3回
膀胱痙攀
- 恥骨上部に生じる排尿筋の痙攀による一過性の深部痛覚。もっとも多い原因は膀胱三角部に対する刺激であり、痛みの程度や頻度はさまざまである。
- 膀胱痙攀(排尿筋の機能亢進)は、尿意急迫感とともに間欠的な恥骨上部痛を起こす。
- オキシブチニン(ポラキス)5〜10mgを1日3回投与する。抗コリン作動性の副作用(特に口渇)が強い。
- 三環系の薬(就寝時にイミプラミン25〜50mgの服用)
- ブロモクリプチン(パーロデル)を1日1.25mgで開始し、その後2.5mgを1日に2回与えると、尿意急迫感と頻尿を減らすことができる(恐らくドーパミン作用性の効果によると思われる)。
- 治療の指針
- 治療:排尿筋の感受性を低下させる
- 抗コリン作動性薬
- トリプタノール、プロバンサイン
- フラボキサート(ブラダロン)100〜200mg1日3〜4回(弱作用排尿筋弛緩薬)
- 非ホルモン性消炎鎮痛薬
- フルルビプロフェン(フロベン)50〜100mg1日2回
- ナプロキセン(ナイキサン)
- フェナゾピリジン(ウロピリジン)
- 痛覚路の遮断
- 腹腔神経節ブロック
- 腰部交感神経ブロック
- 治療に抵抗する不快な膀胱痛に対するこの2つの神経ブロックの有効性が最近報告されている。
排尿遅延
- 定義
- 原因
- 全身衰弱
- 排尿時に立位がとれないこと
- 内容を充満した直腸
- 治療に関連したもの
- 薬フェノチアジン系ハロペリドール(セレネース)シクリジン(ホモクロミン)
- 抗ヒスタミン薬、三環系薬モルヒネ(ときに)
- 合併症によるもの
- 治療
- 選択的α1−アドレノレセプター拮抗薬
- プラゾシン(ミニプレス)、バソメット、ハルナール
- コリン作動性薬
- コリンエステラーゼ阻害薬
- メスチノン60〜120mg
- カテーテル挿入
尿閉
- 抗コリン作動性薬(フェノチアジン、三環系薬、抗ヒスタミン薬)は遷延性排尿を起こし、尿閉を促進する。
- 遷延性排尿に下肢麻痺と背部痛を伴っている場合は、悪性腫瘍による脊髄圧迫が示唆される。これには緊急的に対処する必要がある。
尿の変色
- 尿の色が赤いと血尿と考えることが多い。尿の着色には次のような原因がある。
- 食事性
- 大黄→赤
- フェナゾピリジン(ウロピリジン)
- フェノールフタレイン(下剤に含まれる)→ピンク(アルカリ性尿で)
- センナ---オレンジ色
尿路カテーテル
- 尿失禁は、進行性疾患で最も恐れられる症状の一つである。たとえ患者が在宅を望んでいても、これが理由で入院することが多い。留置カテーテルが最良の解決法であり、患者も(家族介護者も)安心できる。カテーテルはおしめやパンツよりもよい。おしめやパンツはくさいし、不快で煩わしく、床ずれの原因にもなる。
- 毎日、生理食塩水で膀胱洗浄を行い、尿中浮遊物を洗い流す。抗生物質による洗浄は不要である。