呼吸器症状
呼吸困難
- 呼吸数が安静時に1分間30回、少し身体をうごかすと1分間40回以上となることは患者にとって恐怖そのものであり、見るも悲惨である。過剰な呼吸反応と呼吸回数の増加は、不安とエネルギー消費の増大を招き、さらに呼吸困難を悪化させる。呼吸困難は緩和すべき症状として真剣に取り組む。
- 肺がん患者の70%、すべての末期がん患者の50%におこる。
- 実施可能な治療法
- 可逆的な原因の治療
- 感染-----抗生物質、理学療法
- 気管支痙攀-----気管支拡張薬
- 貧血-----輸血
- 発熱-----解熱薬
- リンパ管炎-----副腎皮質ホルモン
- 気管支閉塞-----副腎皮質ホルモン
- 胸水、腹水、心嚢水-----穿刺排液
- 薬以外の治療法
- 呼吸困難の治療薬
- 抗不安薬
- ジアゼパム2mgの1日3回の服用は、過度な鎮痛をもたらすことなく、有効である。
- あるいは、5〜10mgを直ちに経口投与、ついで5〜20mgを夜1回。高齢者では2〜5mgとする。数日後に眠気があれば減量する。
- モルヒネ:投与の目標は、呼吸数を楽な程度まで減少させること。
- モルヒネは、呼吸困難の特徴である不必要な過度の呼吸を抑える。
- モルヒネは、びまん性悪性肺病変を持つ患者によくみられる意味のない「呼吸の過剰促迫」を緩和する効果がある。この症状は無気肺がもたらす呼吸刺激作用によると考えられている。
- 痛みにモルヒネを投与中であれば、50%増量する。
- 頻呼吸に対するモルヒネも除痛目的のときと同じように、4時間ごとに投与すべきである。呼吸困難に対するモルヒネの投与量は、除痛に用いる量より少ない。
- 1回5mgで投与を始める。5mgを4時間ごとに続け、就寝時には、5〜10mgを投与する。
- 翌日になっても効果がなく、副作用もない時は、10mg4時間ごと(就寝時15〜20mg)に増量する。
- 効果はあるが、安静時呼吸数が1分間24以下にならなければ、2〜3日後にさらに増量する。
- 投与量の調整を続けて、必要なら、さらに2〜3日後に15〜20mgの4時間ごとの投与とする。
- この方法を行えば、炭酸ガス貯留は起こらない。ゆっくりと換気して、呼吸を楽に行うことでチアノーゼも起こりにくい。
- 気管支拡張薬
- 他の方法では効かない呼吸困難のある患者には、たとえ臨床的に呼気の喘鳴がない場合でも、これを治療法の一つとして考慮しておく。
- 副腎皮質ホルモンの大量投与(デキサメタゾンを1日8mg)
- 他の治療法が効かない呼吸困難でも、副腎皮質ホルモン大量投与法を1週間は試みてみるとよい。
- 酸素
- 慢性呼吸困難に、酸素療法が役に立つことは稀である。
- 低酸素症が原因で呼吸困難になる患者は比較的少ない。患者が心理的な理由から酸素を欲しがったら、鼻カニューラの方がマスクよりよい。いったん、他の療法を開始したら、酸素療法を開始したら、酸素療法から離れるべきである。
- 患者の体位にも注意を払う(普通は半座位45度が最も楽である)。すでにあらゆる治療法を行ったにもかかわらず、患者の苦痛が取れない場合には、十分で大量のモルヒネとジアゼパムを投与して、その苦痛をとってあげる必要がある。その際、傾眠状態や意識不明が起こったとしてもやむを得ない。
咳
- 発生頻度
- 治療の指針
- 効果的なせきのできる患者の痰を伴うせき
- 吸気の加湿
- せきをする方法の指導
- 体位変換、背中をたたくことなどによる痰の流出の促進
- 抗生物質?
- 粘液溶解薬
- 全身状態不良のため十分にせきのできない患者の痰を伴うせき
- コデイン30〜60mg4時間ごと
- ベンゾナタート5〜20mg4時間ごと
- スコポラミン0.3〜0.6mg筋注または皮下注4時間ごと。
- 吸引を行うが、回数は少なくする。患者は喘鳴よりも吸引になじめない。
- 乾いたせき
- 鎮咳薬
- 末梢性
- ネブライザーによる0.25%ブピバカイン(マーカイン、25mg/10ml)が肺のせき受容体を遮断する。
- バードのネブライザーで粒子は2〜10Aとなる。4時間ごとの5ml(1日30ml)まで増量する。層状の流れのため、口腔や咽頭の麻痺は少なくてすむが、味が悪いため患者が嫌がることが多い。著者はブピバカイン(マーカイン)ネブライザーのみを用いることはない。
- 中枢性
- 非オピオイド系
- イソアミニール(ペロカン)
- オピオイド誘導体
- デキストロメトルファン(メジコン)
- オピオイド