向精神薬
- 進行がん患者には、比較的全身状態のよい患者に用いる量よりも少量を投与するのが一般原則である。ことにモルヒネや他の向精神薬をすでに投与している患者には少量を用いる。最初に少量の試験的投与を行い、比較的急速に(2〜3日ごとに)増量し、副作用が現れる量または十分な効果が得られる量に達する。
- ついで減量が必要となることが多い。薬の蓄積の結果である。投与開始から数日間は、原則として鎮痛薬投与の場合と同じような密接な監視が必要となる。
- 抗コリン作動性薬やほとんどの抗うつ薬は口が渇き、眼がかすみ、尿閉を起こす。時には、患者を錯乱させることもある。
分類
- 抗精神病薬(神経弛緩 neuroleptics)
- フェノチアジン系
- ブチロフェノン系
- チオキサンテン系
- レセルピン誘導体
- 抗不安性鎮静薬
- メプロバメート(アゴラキシン)
- バルビツール酸系
- ベンゾジアゼピン系
- ヒドロキシジン(アタラックス)
- 抗うつ薬
- その他
フェノチアジン系
- 分類
- エチルアミノ誘導体
- プロメタジン(ピレチア)
- プロピルアミノ誘導体
- クロルプロマジン
- レボメプロマジン(ヒルナミン)
- プロマジン
- アリメマジン(アリメジン)
- ピペラジン誘導体(R1側鎖のハロゲン化)
- フルフェナジン(フルメジン)
- ペルフェナジン(トリオミン)
- プロクロルペラジン(ノバミン)
- トリフロペラジン(トリフロペラジン)
- ピペリジン誘導体
- プロフェナミン(パーキン)
- チオリダジン(メレリル)
- 特性と使用目的
- 制吐-----ことにピペラジン誘導体を用いる。
- 精神症状の緩和
- 抗不安-----ことにプロピルアミノ誘導体を用いる。
- 夜間の鎮静
- 裏急後重(しぶり)による痛み
- 鎮痛目的-----レボメプロマジンのみ
- レボメプロマジン(ヒルナミン)には鎮静作用や血圧下降作用があり、使用上の制約となる。
- 使用の制約
- 望ましくない抗コリン作動性副作用の出現-----ことにピペリジン誘導体
- 傾眠
- 体位性低血圧
- 錐体外路系の反応-----ことにピペリジン誘導体
- 一般的事項
- 夜間の鎮静目的以外の使用では3回以上の投与とする。
- ピペリジン誘導体は、末期のケアではほとんど使用されない。ことにチオリダジン(メレリル)は制吐効果がなく、望ましくない抗コリン作動性副作用の頻度が高いためである。
- 制吐に用いるとき
- ハロペリドール(セレネース)
- フルフェナジン(フルメジン)1〜2mg1日2回
- プロクロルペラジン(ノバミン)5〜10mg8〜4時間ごと
- ペルフェナジン(トリオミン)2〜4mg8〜6時間ごと
- トリフロプラジン(トリフロペラジン)1〜2mg12時間ごと
- 精神症状の緩和に用いるとき
- クロルプロマジン10〜100mg8〜4時間ごと
- トリフロペラジン(トリフロペラジン)5mg1日2〜4回
- 抗不安薬として用いるとき
- プロクロルペラジン(ノバミン)5〜10mg8〜4時間ごと
- クロルプロマジン10〜100mg8〜4時間ごと
- トリフロペラジン(トリフロペラジン)5mg1日2〜4回
- 夜間の鎮静目的に用いるとき
- 直腸のしぶりに用いるとき
ハロペリドール(セレネース)
- 利点(5)
- 高濃度溶液である。そのため少ない量で済む
- 舌下吸収される
- 鎮静作用は非常に弱い
- 抗コリン作用が弱い
- 心臓や中枢神経系に対する副作用がフェノチアジン系薬剤に比べて非常に少ない
- 注射剤もある
- 長時間作用性
- 非常に安価
- 特性と使用目的
- 使用の制約
- 一般的事項
- 血中半減期は16時間、通常1日1回の投与ですむ。
- 多量(5mg以上)投与では、一定の鎮静効果を示し、夜間の鎮静用として十分な役割を果たす。
- 錐体外路系の反応は、1日量が5mg以上になると多いが、常に生じるわけでもない。予防的に抗パーキンソン薬を併用する必要はなく、症状が出現したときにはじめて併用するとよい。
- パラノイドや精神病的症状ないしその傾向のある患者によく用いられる抗不安薬である。
- ハロペリドールをクロルプロマジンと比較すると
- クロルプロマジンよりも制吐作用、錐体外路系の副作用が強い。
- クロルプロマジンよりも鎮静、抗コリン作動性、心血管系への作用が弱い。
- 投与の指針
- 錠(0.75、1.5mg)、
- 制吐(化学的原因、中毒物質による嘔吐)に用いるとき
- 1〜1.5mgを直ちに、ついで夜1回。モルヒネ投与時の制吐目的の標準量である。
- この量が無効なら、3〜5mgを夜1回
- 化学療法に関連した嘔吐や、生化学的異常(高Ca血症や尿毒症)による嘔吐には、5〜20mgを夜1回または2分して1日2回
- 精神症状の緩和に用いるとき
- 老齢者(70歳以上)では、1.5〜3mgを直ちに、ついで夜1回
- それより若い患者、および十分な効果が得られなかった老齢者では、5mgを直ちに、ついで夜1回
- さらに効果がなければ、10〜20mgを夜1回、または2分して1日2回
- 抗不安薬として用いるとき
- 5mgを直ちに、ついで夜1回
- 効果がなければ、10〜20mgを夜1回または、2分して1日2回
ベンゾジアゼピン系
- 抗不安性鎮静薬
- 半減期の長いものは、1日1回投与で十分な効果をあげる抗不安薬となるが、反復投与により蓄積し、傾眠、精神運動機能障害を起こしやすくなる傾向がある。
- 分類
- 作用時間の短い薬(半減期5時間以内)
- ミダゾラム(ドルミカム)
- トリアゾラム(ハルシオン)
- 作用時間が中間の長さの薬(半減期5〜25時間)
- オキサゼパム(ハイロング)
- ロラゼパム(ワイパックス)
- ロラゼパムはジアゼパムより蓄積性が少ない。抗不安薬としてよく使われる。経口投与する場合には、0.5〜2mgを4〜6時間ごとに与える
- フルニトラゼパム(ロヒプノール)
- 作用時間の長い薬(半減期25時間以上)
- クロルジアゼポキシド(コントール)
- クロネザパム(ランドセン)
- クロラゼプ酸(メンドン)
- ジアゼパム(セルシン)
- フルラゼパム(ベノジール)
- ニトラゼパム(ベンザリン)
- 臨床適応
- 投与経路
- ジアゼパムは座剤が市販されている。
- ジアゼパムの注射液は油性なので、筋肉ない注射しても効果発現がおそく、効果は不定である。静脈内注射には血栓性静脈炎の危険がある。
- ミダゾラム(ドルミカム)とフルニトラゼパム(ロヒプノール)は水溶性で、皮下、筋肉内、静脈内に注射できる。
- 投与の指針
- 夜間の鎮静目的で用いるとき
- 抗不安薬として用いるとき
- 作用時間が長い薬を用いる
- ジアゼパム(セルシン)2〜20mg夜1回、ときには1日2〜3回
- 作用時間が中間の長さの薬をもちいてもよい
- ロラゼパム(ワイパックス)1〜2mg1日2〜3回
- 筋弛緩を目的として用いるとき
- ジアゼパム(セルシン)2〜20mg夜1回
- バクロフェン(ギャバロン)は、ベンゾジアゼピン系ではないが、不安を伴っていない場合や、ジアゼパムで眠気の強い患者に対し、よい代替薬となりうる。
- 抗痙攀薬として用いるとき
- ジアゼパム(セルシン)
- ジアゼパムの注腸剤10mgは、静注と同じ速さで痙攀発作をコントロールする
- ミダゾラム(ドルミカム)
- ミダゾラムは水溶性で、持続皮下注入に使える(開始量は、24時間に20〜30mgである)。
- クロナゼパム(ランドセン)
- クロナゼパムは効力が大きいので、進行がん患者では少量で投与を開始する。たとえば、0.5mg夜1回で開始し、3〜5日ごとに0.5mgずつ増量し、2〜4mg、ときにはそれ以上とする。
ジアゼパム(セルシン)
- 特性と使用目的
- 抗不安
- 夜間の鎮静
- 筋弛緩
- 抗痙攀
- ジアゼパムをシスプラチンによる嘔吐のコントロールの補助薬として使用することがある。
- 使用の制約
- 昼間の眠気
- 過度の筋弛緩(筋力低下)
- 体位性低血圧
- 一般的事項
- 血中半減期が2日なので、一般的には1日1回就寝時に投与する。
- ときに逆の効果を示す患者があり、不安がつのり、不快さが増す。
- 蓄積により眠気が発生したときには、減量する。
- 患者が夜よく眠れるようにならないと、昼間の眠気やうたたねが多くなる。
- ジアゼパムは筋肉内注射より経口投与や直腸内投与の方が早く効果をあらわす。注射液が油性のためである。
- 緊急時や死の直前などの場合に有用な投与法は、ジアゼパムの直腸内投与である。10mgの座剤がある
- ジアゼパム注射液を、注射器とカテーテルを用いて直腸内に注入してもよい
- 投与方式
- 頓用方式を用いるべき場合
- 老人における最良の投与開始方式で、とくに急性の(多くは一過性の)不安の治療に用いられる。
- 夜間の定時投与として用いる場合
- 1日複数回の投与方式(たとえば、10ないし14、22時間、または10、18、22時に投与する方式)を強い興奮を伴う臥床したままの末期患者に用いる。
- この投与方式の治療目的は、覚醒していると不快な症状を強く感じるため、不快な時間を少なくすることである。ときには、患者を長時間眠らせることによって覚醒していると感じる非常に不快な症状から救済するために用いる。
- ジアゼパム(通常は、5〜10mgを就寝時服用)は、不安を減らし、筋攣縮を抑える上で有効である。
ミダゾラム(ドルミカム)
- 使用の特性
- 麻酔導入に用いられる。
- 末期の興奮の鎮静に用いられる。
- 抗痙攀薬としても用いられる。
- ミダゾラムとジアゼパムの比較
- 鎮静作用-----ミダゾラムが2倍強力
- 抗痙攀作用-----両者とも同じ効力
- ミダゾラムは水溶性なので、皮下、筋肉内、静脈内に注射できる。
- 簡単な検査の場合の鎮静(10mg/5mlを用いる)
- 投与量は年齢に左右される。
- 通常、2〜10mgを用いる。
- 高齢者では、1mgを投与し、ついで鎮静が得られるまで1分間に0.5mgずつ追加投与する。
- 末期の興奮の鎮静(10mg/2ml)
- まず5mgを皮下または筋肉内に注射、次いで24時間あたり30mgずつを持続皮下注入
- 十分に効果をあげなければ、1時間につき5mgを皮下または筋肉内に持続注入し、それでも症状が再発して追加投与が必要なら、24時間あたり40mgまで増量する。
- ジアゼパム20mgの経口または直腸内投与が無効であった患者では、まずミダゾラム20mgを直ちに皮下または筋肉内に注射し、ついで60mg/24時間の持続皮下注入を始める。十分な効果をあげないときには、1時間ごとに10〜20mgを追加する。
- ときに24時間あたり100mgが必要なことがある。
- 重大な緊急事態のときの鎮静(10mg/5mlまたは10mg/2mlを用いる)
- 急性気管圧迫(→急性の窒息)、気管・気管支からの大出血(まれ)
- 即死でないときは、ミダゾラム5〜20mgの静注で意識がない状態にしないと患者の恐怖は和らげれない。
- 抗痙攀薬としての使用(10mg/2mlを用いる)
- 10mgを筋肉内または静脈内に直ちに、ついで24時間あたり30mgの持続皮下注入
- それでも痙攀がみられるときには、10mgを1時間ごとに皮下または筋肉内に注射する。持続皮下注入開始後、2回の追加投与が必要となったら、24時間あたり60mgに増量する。
抗うつ薬
分類
- 三環系薬
- アミトリプチリン(トリプタノール)
- クロミプラミン(アナフラニール)
- デシプラミン(パートフラン)
- 関連薬
- ミアンセリン(テトラミド)
- マプロチリン(ルジオミール)
- その他
- メタミン
- リチウム(リーマス)
- リチウムは、うつ状態、または躁とうつの双方を示す場合のうつ状態の再発防止に使われるようになってきている。また治療に抵抗するうつ状態に対し、トリプトファン、三環系薬、MAO阻害薬などと併用される。
- 鎮静作用
- 身体的条件が良好でない患者では、鎖静効果が現れやすい。とくにモルヒネや向精神薬投与中の場合にはさらに現れやすくなる。
- 低血圧
- 痛覚求心路遮断による痛みの軽減は、治療開始から3日で得られることがあるが、抗うつ効果は5〜14日投与して得られる。
アナフラニール、トフラニール
- 三環系薬を全身投与または随腔内投与すると、全身投与によるモルヒネの鎮痛効果を増強する。
- 三環系薬の鎮痛効果は、抗うつ効果が得られていないときにも認められる。
- 三環系薬の鎮痛作用と抗うつ作用とは別々の機序によると考えられている。
- 三環系薬と関連薬の使用法
- うつ状態
- 早朝になってからの不眠
- 痛覚求心路遮断による痛み
- 尿意急迫
- 膀胱痙攀
デシプラミン(パートフラン)
ドチエピン(英)およびミアンセリン(テトラミド)
- 鎮静作用があり、抗コリン作動性はないか、僅かである。
アミトリプチリン(トリプタノール)、クロミプラミン(アナフラニール)、ノルトリプチリン(ノリトレン)
- 鎮静作用がない。
- うつ状態のあるがん患者は、同時に不安ももっているので、ミアンセリン(テトラミド)のような鎮静性の薬によってよい効果が得られる。
- 痛覚求心路遮断による痛みには、アミトリプチリン(トリプタノール)、クロミプラミン(アナフラニール)、イミプラミン(トフラニール)のいずれかを用いる。
- 排尿筋の反射亢進による膀胱痙攀や尿意急迫には、アミトリプチリン(トリプタノール)を第一に選択する。
就寝時の1回投与
- 朝起きてからも眠気が残っていたり、夜間に長い時間目覚めていたり、不眠があるときには、就寝1〜2時間前に服用する。
- 少数の患者は、アミトリプチリン(トリプタノール)で逆に刺激され、不眠、生々しい夢、ミオクローヌス、身体的不穏などを体験する。この場合には、朝のうちに服用するか、ミアンセリン(テトラミド)に代える。
- 痛覚求心路遮断による痛みに抗うつ薬を使う場合には、効果は3〜5日目頃に認められるようになることが多い。
- 抗うつ効果も、この頃から認められ始め、十分な効果はもう少し後になってから得られる。
三環系薬の投与法
- 衰弱した患者では、少量投与で抗うつ効果が得られることが多い。
- 進行がん患者の場合には、とくに70歳以上であるいは全身衰弱が進んでいる場合には、三環系薬の投与を少量で開始するのが賢明である。
向精神薬の副作用
抗コリン作動性(アトロピン様)副作用
- 口内乾燥
- 視野のぼけ(散瞳と調節障害)
- 心悸亢進
- 胸やけ(食道下部の括約筋の緊張低下)
- 便秘
- 排尿遅延
- 尿閉
- 表5-1原因となる薬
- ベラドンナ・アルカロイド 抗ヒスタミン薬
- 抗精神薬(神経弛緩薬 neuroleptics)
クロルフェニラミン(アレルギン)
- フェノチアジン系 シクリジン(ホモクロミン)
- ハロペリドール メクロジン(ボナミン)
- 抗うつ薬 ヒドロキシジン(アタラックス)
- 三環系 鎮痙薬
- ミアンセリン(テトラミド) プロパンテリン(プロバンサイン)
錐体外路係副作用
- 薬による錐体外路系の反応
- 原因となるのは、
- 抗精神病薬(神経弛緩薬 neuroleptics)
- フェノチアジン系
- ハロペリドール
- メトクロプラミド(プロメチン)
- パーキンソニズム
- どの時期でもパーキンソニズムが出現しうるが、2週間以内の出現はまれである。60歳以上の患者でもっとも多く出現する。
- 企画振戦
- 筋の固縮
- 顔の表情の減少
- よだれ
- 小きざみ歩行
- 治療
- 抗コリン作動性抗パーキンソン薬を用いる。
- ベンザトロピン(コゲンチン)1〜2mgを静脈内または筋肉内に注射し、次いで2mg1日2回の経口投与とする。
- アカチジア(着座不能症)
- アカチジアとは、一種の運動不穏で、患者が行きつもどりつ歩き廻り、身体の位置をいつも変えていなければならない状態である。パーキンソン病でみられるとともに、抗精神病薬(神経弛緩薬
neuroleptics)の使用、ことに大量使用に際してみられる。
- 投与開始から2週くらいを経て生じることが多い。薬の投与をそのまま続けると、進行してパーキンソニズムとなる。16歳から60歳にわたって多くみられる。
- 強迫されているように、部屋の中を行きつもどりつする。
- 立位では、身体の揺れがみられる。
- 一歩一歩、左右の足に体重をかけかえながら歩く。
- 患者は不安そうにみえ、自らも不安を感じている。
- 治療
- 原因となった薬の減量を考慮する。
- 抗コリン作動性抗パーキンソン薬を経口的に1日2〜3回投与する。
- 効果が不十分なら、ジアゼパム(セルシン)を加える。
- これらの治療に抵抗を示す場合に限り、原因となった薬を中止する。
- 急性ジストニア
- 投与開始後数日以内に突然発症し、患者は不安感を持つ。若い女性患者にもっとも多く生じる。
- 咬痙
- 斜頚
- 顔面痙攀
- 注視痙攀
- 弓なり緊張(オピストトーヌス)
- 治療
- ベンザトロピン(コゲンチン)1〜2mgまたはプロシクリジン◇5〜10mgを静脈内または筋肉内に注射すると、直ちに症状が緩和する。必要があれば、30分後に反復投与する。
- 標準的な抗コリン作動性抗パーキンソン薬の経口投与を続ける。
- 原因となった薬の減量または中止を考慮する。
- メトクロプラミド(プロメチン)が原因であるときは、ドンペリドン(ナウゼリン)に切りかえる。
- 晩発性ジスキネジー
- もっとも多いのは強力な抗精神病薬やメトクロプラミド(プロメチン)によるものである。
- 抗精神病薬を3か月以上投与された患者の20%に起こり、大量(たとえばクロルプロマジン1日300mg)を投与された女性や高齢者に多い。
- 若い患者では、肢位の異常や頚部体幹の筋の収縮による斜頚、側彎症、前彎症として現れる。
- 異常運動は、不安によって増強し、眠気があるときや睡眠中には減退する。
- 自覚的な不快さはないが、アカチジアを伴うと本人にとり不快となる。
- 早期診断
- 「口をあけて、舌を出してごらんなさい。」と命じたとき、次の現象があれば、晩発性ジスキネジーが発症し始めている。
- 舌の蠕動様の動き
- 数秒間以上にわたり、舌を突き出していられない状態
- 治療
- 原因となった薬を中止すると、30%の患者では3か月以内に、40%では5年以内に症状が解決する。高齢者では症状が不可逆的なことがある。
- 薬で治療しても効果があがらないことが多い。抗コリン作動性抗パーキンソン薬の投与は症状を悪化させる。
- テトラベナジン◇-----うつ状態の患者には使用を避ける。低血圧の発生を避けるためにゆっくり増量する。
- レセルピン(アポプロン)-----テトラベナジンの代わりに用いられる。プレシナプスの作動性アミン量を低下させ、テトラベナジン、と同じ副作用がある。
- レボドーパ(ドパール)投与初期に一時悪化させるが、その後は長い間にわたり症状を軽減させる。
- GABA拮抗薬-----バクロフェン(ギャバロン)、バルプロン酸(デパケン)、ジアゼパム(セルシン)、クロナゼパム(ランドセン)などの効果は不定である。
- 原因となった薬の増量-----逆療法であるが効果があることがある。ただし、他の治療が効果をあげずどうにもならなくなったとき行う。