神経破壊の痛み

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同義語

  • 神経の痛み
  • 痛覚伝導路遮断痛
  • 痛覚求心路遮断痛
  • 異常感覚的な痛み

痛みの性質

  • 痛みは(組織や臓器ではなく)神経が傷害されて起こっている。
  • 末梢神経が侵されたときは皮節に一致して発生し、中枢性の病変によるときは皮節には一致しない。
  • 痛みの表現(灼けつくようだ、刺すように痛む)から、神経叢損傷が疑われるが、痛みの部位で感覚が鈍くなっていたり、変化していたりすることで診断できる。
  • 表在性で灼熱的、あるいはズキズキした不快感のある痛み。
  • 自発性の刺すような痛み、あるいは放散する痛み。
  • 深部に併発するうずきが、神経の圧迫と遮断との混在による痛みのときも神経の遮断のときも現れることがある。
  • 軽く触れたり、軽く叩いたりすると痛みを生じる。したがって肌に着衣が触れると痛みとなり、着衣に耐えれれなくなることがある。
  • 針を用いた痛覚検査や温室の検査では、感覚低下が認められる。
  • 時にしびれを伴う。
  • モルヒネを投与しても効果があがらなかったり、僅かな効果が得られるのみのことが多いため、不眠が続き、患者は疲れきってしまう。
  • 腕神経叢を巻き込む場合には、上肢に、また骨盤内腫瘍による腰仙骨神経叢の場合には、下肢に典型的な痛みが出る。
  • アスピリンやモルヒネがあまり効かず、三環系薬がしばしば適応になる
  • 治療目標は、夜よく眠れること

治療法

  • 三環系抗うつ薬
    • 最大投与量は、鎮痛効果の程度と副作用の程度とによって決まるが、副作用が投与量を制約することが多い。
    • アミトリプリチン(トリプタノール)、クロミプラミン(アナフラニール)、イミプラミン(トフラニール)。
    • クロミプラミン(アナフラニール)とイミプラミン(トフラニール)は、抗コリン性作動副作用がアミトリプチリンより少ないので、高齢者や衰弱した患者で使いやすい。
    • 三環系薬ならどれでも同じような効果を表す。イミプラミンをまず選択する。
      • 増量の速度は、
      • 第1日目-----10〜 25mg
      • 第3日目-----25〜 50mg
      • 第7日目-----50〜100mg
      • 第10日目----100〜150mg
      • 高齢者は1週間おきに増量。この方法を使って、第4〜5日で痛みが抑えられることはまずない。25mgだけで痛みが消えることもない。
  • モルヒネ
    • モルヒネを試みることは重要である。深く、うずくような性質の痛みには、モルヒネが部分的に効く場合がある。その場合、神経の痛みに、軟部組織の痛みが加わる。適正な投与量とは、眠気を起こさずに、できるだけ痛みを抑えられる量である。
  • 抗けいれん薬(保険適応なし)
    • 抗けいれん薬が、神経の痛みの中でもズキズキと激しく刺すような痛み(電撃的な痛み)を緩和することがある。抗けいれん薬は、シナプスにおける発射を阻害し、神経の興奮を抑える働きをする。
    • いずれの薬も、4〜6週間は続けてみるのが理想である。ただし、痛みが激しい時や予後が短い時には、試用期間を1〜2週間に縮める。
    • バルプロ酸ナトリウム(デパケン)
      • 20%の患者に有効。
      • クロナゼパムやカルバマゼピンに比べて、眠気を生じることが少ないため、神経障害の痛みには、バルプロ酸が、第一選択である。
      • 普通、200mgを1日に3回、あるいは500mgを就寝時に与える高齢の患者では200mgの夜1回投与で開始する。
      • 3〜4日ごとに増量し、600mgを1日に4回まで増量できる。
      • 蓄積が起こりうる。そのときには減量。
    • カルバマゼピン(テグレトール)
      • 20%の患者に有効。
      • 三叉神経痛、糖尿病性神経性の痛みにも効く。
      • 100mgを1日に2回で開始し、効果発現まで1週ごとに200mgずつゆっくり増量
      • 最高量は400mgを1日に3回。
      • 三環系薬を同時に投与すると、両者の代謝速度がおそくなる。
    • クロナゼパム
      • 40%の患者に有効。
      • 0.5mgを就寝時に1週間。その後、徐々に増量して、最高1日3mgを2〜3分割し分して服用。
    • フェニトイン(アレビアチン)
      • 約20%の患者に有効。
      • 最初は、300mgを就寝時に服用する(1日に600mgまで増量できる)。
  • 副腎皮質ホルモン
    • 副腎皮質ホルモンの大量投与は、神経の圧迫を解除することにより、神経の痛みを軽減することができる。デキサメタゾン4mg1日2回、またはプレドニゾロン20〜30mg、がん患者の場合は副腎皮質ホルモンが神経圧迫や遮断による痛みのオピオイド反応性を高めることがある。
  • 局所麻酔薬(抗不整脈薬:保険適応なし)
    • メキシレチン(メキシチール)
      • メキシレチン100mgを1日に2回投与すると、神経の痛みの患者17人のうち6人が、1週間から26週間、完全な鎮痛効果を得たという報告がある。
      • 用法・用量:1回50〜100mgを1日3回投与とし、効果が不十分な場合は1日450mg〜900mgまで増量する。
      • 副作用:悪心、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、胸やけなどの消化器症状と振戦、めまいなど精神神経症状が主で、循環器系のものは少ない。
    • フレカイニド(タンボコール)
      • 100〜200mg 経口 2回/日
    • リドカインの持続皮下注入
      • 経口の抗不整脈薬であるメキシレチンが服用困難あるいは無効で、リドカインテストに反応がある患者が適応となる。
      • リドカインテストとは、静注用のリドカイン1〜2mg/kgを緩徐に注入して、痛みが軽減するかどうかを確認する方法である。
      • 用法・用量:点滴用10%リドカインを携帯用の小型ポンプで24時間持続的に皮下に注入する。投与速度は、がん患者においては10μg/kg/minから開始し、血中濃度をモニタリングしながら効果や副作用を評価し、投与速度を調節する。多くの患者において10〜25μg/kg/minの投与速度で有効血中濃度は1.5〜5μg/mlであり、6μg/ml以上では副作用の発生頻度が次第に増加し、9μg/ml以上は明らかな中毒量と考えられている。治療域と中毒域が非常に近いので慎重に投与しなければならない。特に心不全や肝不全、全身状態の悪い患者では副作用が出現しやすくなる。
      • 副作用:めまい、眠気、不安、多幸感、悪心・嘔吐、混乱、痙攀、刺激伝導系の抑制、血圧降下、ショック、徐脈、まれに心停止。
  • クロニジン(保険適応なし)
    • クロニジン25μgを1日に3回、その後、増量して100μgを1日に3回投与することで、神経の痛みをコントロールすることに成功している。クロニジンはα2作動薬で、痛覚抑制下降路を刺激して鎮痛する。
  • バクロフェン(ギャバロン、リオレサール)
    • 10〜20mg 3回/日
  • 神経ブロック・脊髄切断術
    • 痛覚伝導路の遮断は、アルコールなどの化学物質を用いた神経ブロックや脳神経外科的方法(脊髄視床路の切断など)によって行われる。これらの方法は、鎮痛薬や副腎皮質ホルモンが十分な効果をあげない神経圧迫による痛みの治療に有用である。